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デジタルマーケティング

デジタルマーケティングで勝つ「競合分析」の7つのステップ

「競合分析をしたいけど、実際のやり方が分からない」

「競合分析まで終わったけど、ここからどう進めていけばいいのか?」

とお悩みではありませんか?

競合分析では、自社と競合他社を比較することで自社の強みや弱みを把握することができますが、分析だけで終わらずに分析結果をもとに戦略仮説を構築し、検証を行うことで自社の課題を解決していくことができます。

今回は事例を用いながら実際に競合分析を行い、戦略仮説の構築〜検証までを新米担当者の方でも分かりやすくご紹介していきます。この記事を読むことであなたの会社の課題発見・解決を実践できるようになるでしょう。

100社以上のWebサイト改善支援の実績があるコンサルティングファーム・株式会社メディアシアターが培ったノウハウも記事の中に詰めこまれておりますので、ぜひ参考にしてください。

さらに、こちらの記事をご覧の方は、「そのまま表を埋めていくだけで競合分析ができるワークシート」パワーポイントデータで無料ダウンロードできます。「競合分析結果を早急に報告したい」「会議の資料に使用したい」方は、このワークシートを使って分析してみてください。

タブレット学習業界の競合分析の事例

今回は事例として小学生向けのタブレット学習サービスを提供している「RISU(リス)算数」のサイトを例にしながら、競合分析のやり方や、結果に繋げるための戦略仮説構築から仮説検証までをひとつひとつステップに分けてご説明いたします。

◆タブレット学習業界の競合分析イメージ

このように自社を含めた企業ごとのマーケティング施策を分析することで自社の改善すべき点を見える化することができます。さらに、この分析から戦略仮説を立て、定量調査や定性調査を行うことによりCVRの改善や売上アップに繋げていくことができます。

では、このような競合分析をどのように行えば良いのでしょうか?
続いて、競合分析のやり方をステップに分けてご紹介していきます。

競合分析~戦略立案までの7ステップ

ステップ①市場調査

まず、競合分析を行う際の代表的なフレームワークである3C分析を行いましょう。3C分析は競合と比較した自社の強み・弱みを捉えることで、成功要因を見つけ出し戦略を立てる事ができます。

◆3C分析の項目例

3C分析は、ミクロな環境を構成する「顧客(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」の3つの視点から、自社の強み・弱みを捉えます。この項目を参考にまず3つの要素を書き出しましょう。今回のRISU算数の事例では、以下のように書き出しました。

◆3C分析事例
「顧客/市場(Costomer)」
・通信教育業界はコロナ禍で市場拡大したものの、現在は縮小傾向
・自宅で気軽に取り組みたいニーズ
・子どもの入学前準備をしたい親が様々な家庭学習を検討する
・購入基準は価格、内容、実績、継続力

「自社(Company)」
・先取り教材No.1、算数に特化している
・料金体系が複雑、算数しか勉強できない
・中学受験を将来受けたい家庭向けサービス

「競合(Competior)」
・進研ゼミやスマイルゼミなど有名な大手
・全教科対応
・多様な広告・プロモーション

この3C分析は非常に有名なフレームワークなので知っている方は多いと思いますが、実は捉える視点は人それぞれです。3C分析を施策に活かすために重要な視点は大きく2つあります。

3C分析で必要な2つの視点

視点①POD(ポイント・オブ・ディファレンス)
差別化ポイントと訳され、他社商品との違いの中で、自社商品を買う理由になるものです。自社が提供でき、競合他社が提供できず、顧客が求める独自の価値といった意味で「バリュープロポジション」や「USP(ユニーク・セリング・プロポジション)」とも表現されます。こちらをイメージされる方も多いのではないでしょうか。

視点②POP(ポイント・オブ・パリティ)
これは、競合を含めてそのカテゴリーには備わっていて当たり前の要素、必要最低条件のことです。デジタル領域での3C分析で捉えるべき視点として、実は非常に重要な視点です。

例えば、BtoB商材において、競合他社は全て「資料ダウンロード」ができるようになっているのに仮にも自社が「ダウンロード資料」の用意ができていないのであれば、顧客が商材検討し、サービス導入の決済を取るうえで、「必要最低限の条件がそなわっていないのでは?」という欠陥を発見することにつながります。

こちらは極端な例と思われるかもしれませんが、ご支援してきた企業様でも、大小問わずこのPOPが備わっていないために機会損失を起こしているケースがかなり発生しております。ぜひ、この視点で3C分析を捉えてみてください。

3C分析で自社の対外的・内在的強みと弱みを分析できたら、分析対象とする競合他社を選定していきましょう。

ステップ②分析する競合他社を選ぶ

続いて、競合分析を行う競合他社を選定します。競合を考えるときは以下の種類に競合を分けて考えましょう。

◆競合の分類
・「直接競合」:自社と同じサービスやコンテンツを提供している企業
・「二次競合」:同じカテゴリのサービスやコンテンツを提供している企業
・「間接競合」:自社と同じサービスを提供しているわけではないが、検討する際に選択肢として挙がるサービスを提供している企業

直接競合が少ない業界では二次競合や間接競合、または検索した時に検索順位を争う検索結果上の競合を分析しましょう。
では、これらを参考にRISU算数を例に競合他社をリストアップしましょう。

◆RISU算数の競合他社
「直接競合」:同じタブレット型学習サービスを提供している企業
・進研ゼミ
・スマイルゼミ
・東進オンライン学校
・Z会

「二次競合」:小学生向けの通信教育を提供している企業
・ポピー
・がんばる舎

「間接競合」:子どもの学力を伸ばそうとした際に選択肢に挙がる企業>
・公文
・学研
・塾
・七田式

今回は直接競合の企業の数が充分あるので直接競合を分析していきます。分析対象の競合他社を決定したら、各社の顧客層ごとのデジタル競争環境を把握していきましょう。

ステップ③デジタル競争環境の把握

同じ業界でベンチマークしている競合でも、デジタルでの比較検討上では競合が異なるケースもあるので、各チャネルごとでの競合を確認していきましょう。

◆デジタル上での各チャネルの競合把握

このように、実際に顧客が各文脈でネットやSNS検索した際に頻出する競合をリサーチすることで、デジタルで比較検討される競合、つまりデジタル上での競争環境を正しく把握することができます。

やりかたは、非常にシンプルです。例えば、以下のようにGoogle検索で各顧客層の検索キーワードを検索し、ヒットする競合を捉えるだけです。

◆「小学生 タブレット学習」で検索する

<Google検索のキャプチャー>

実際に、ネット検索やSNS検索した際に、検索結果や各種メディアで頻出する競合をリサーチすることで、デジタルで比較検討される競合を正しく把握することができます。

続いて、想定した競合のデジタルマーケティング施策を把握していきましょう。

ステップ④競合他社のマーケティング施策を比較

競合他社のマーケティング施策を把握するため、ベンチマークした競合が顧客層ごとに「どんなデジタルマーケティング施策をしているか」を調査しマッピングしていきます。このマッピングから、競争環境で自社が何をすべきかの仮説を立てることができます。

この分析でも競合のリサーチを深堀ると発見があります。競合していると思っていた同業他社が検索広告よりも、SNSやYouTubeでの露出を増やしているといったことがわかるかもしれません。
また、特定のSNSや比較サイト、ランキングサイトでの露出を強化しているかもしれません。このように、競合他社の各チェネルごとの施策やコンテンツを比較することで、競合が力を入れているチャネルが何かを把握できます。

◆競合のマーケティング施策を比較

RISU算数の競合マーケティング施策の比較をすると、進研ゼミやスマイルゼミはDMや広告などが多くLPも複数パターン用意されているのに対して、RISU算数ではLPは1パターンになっており、ユーザーのニーズに併せた訴求がされているLPがない状況であることが分かります。
また、顕在層へのコンテンツも他社は豊富であるのに対し、RISU算数は「1週間無料体験」のみになっているので、顧客との距離を詰める機会や申し込みの後押しをする要素が少なくなってしまっていることが確認できました。

このように、実際に店舗を構えていたら簡単に把握できる競合の施策も、デジタル上になると見えなくなってしまっているので、オンライン上での競合のマーケティング施策をリサーチすることはとても重要になります。

続いて、この分析の結果をもとに戦略を立てていきましょう。

ステップ⑤戦略仮説を立てる

競合と自社の施策事例から、潜在層向けのアプローチが不十分であると現状認識して、拡大できる余地を捉えたり、顕在層でも競合に負けている可能性に気づきリプレイスする戦略を検討し、「戦略仮説」を構築していきましょう。

◆戦略仮説の構築

今回のタブレット学習のケースでは、2つの仮説が洗い出されました。

仮説①「潜在層〜比較検討層の切迫感のない顧客に対して、最適なアプローチを強化することで顧客の拡大を実現できないか?」
仮説②「顕在層に対して、申し込みを後押しするコンテンツを用意することで申込者数を増加できないか?」

このように、潜在層向けのアプローチが不十分であると現状認識し、潜在層へ拡大できる余地があるといったビジネス機会を捉えたり、顕在層でも競合に負けている事実に気づき、リプレイスする戦略を検討したりビジネス課題に紐づいた、有効な戦略仮説が構築できるようになります。

この戦略仮説はこの場ですべて決めきると思わず、まずは「戦略仮説」として、設定するスタンスも大切です。なぜなら、ここから必要に応じた顧客調査などを行なっていくからです。正確性や確実性を求めすぎて不必要に立ち止まることなく、戦略仮説をアウトプットしてみましょう。

最後に、この戦略仮説の方向性を決めていきましょう。

ステップ⑥戦略仮説の検証ゴールを設定する

戦略仮説が構築できた段階で、戦略の「目的・ゴール」を定義します。目的やゴールを設定することで無駄な調査や時間を削減し、的確な検証を行うことができます。

今回のケースでいうと、
・新規ポテンシャル顧客の拡大
・コンテンツ改善によるCVR向上
といったものがゴールイメージになります。

また、次のステップとして、戦略仮説を検証するために、
・必要な論点は何か?
・その仮説を検証するために、どんな調査をすると良いのか?
の検証ポイントについて詰めていきます。

例えば、戦略仮説上の、ポテンシャル顧客はどんな顧客なのか?果たしてどれくらいいるのか?どんなニーズを持っているのか?といったことを定量・定性調査の両方で確認をすることも重要な論点になります。また、顧客が選ばなかった理由、検討を止めてしまった要因などのマイナス要素も調査で確認する必要があるかもしれません。

まとめますと、このように戦略仮説があることでデジタルマーケティングとして何を明らかにしたいかの目的・ゴールが明確になります。

そして、これまでのステップを踏むことで、ビジネス上の課題解決と紐づいた「戦略立案」になります。着実にステップを踏んだ戦略は、実行もブレなく行えるので、成果を出す確率やインパクトを確実に大きくします。

競合分析での重要ポイントは、細かい分析をしすぎずに大枠を捉えることです。なぜなら、売上拡大に向けた「戦略仮説」をもち、次のステップである「定量調査・定性調査」で実際にこの仮説を検証し、具体化していく流れになるからです。えいやで決める面と、着実に情報を積み上げていく面をうまく使いわけて、戦略立案のスピードと精度の両立を目指しましょう。

ステップ⑦戦略仮説の検証

戦略仮説の検証を行うために、デジタルマーケティングでは定量調査と定性調査を行います。まずは定量調査で全体のアクセスデータを把握して改善における重点領域を明確にし、そのうえでユーザー行動観察調査のような定性調査を行い、顧客ニーズ課題を理解していきましょう。

定量調査では、どのチャネルから流入、どのページから見始めたのかの「入口」と、どのページ経由でどの商品ページで成約・コンバージョンしたのか、または離脱したのかの「出口」を把握することが重要です。代表的な手法としては「アクセス解析」「キーワード分析」「広告パフォーマンス分析」などです。

定性調査では、ユーザーの行動や言葉といった、数値化できないデータの収集を把握することが出来ます。定性調査の手法は、実際のユーザーの購入の様子や検索行動などを観察する「ユーザー行動観察調査」や、ユーザーから商品やサービスの感想や意見を収集する「インタビュー」などがあります。

今回は仮説検証において最も有効的な「ユーザー行動観察調査」をご紹介します。他の手法はこちらの記事でご紹介していますのでご覧ください。

過去記事:プロが実践!UXリサーチの5つのステップと具体的手法の解説
https://www.media-theater.com/blog/ux-research/

「ユーザー行動観察調査」とはユーザ視点を起点とした課題点・改善方針の把握を目的に、実際のターゲット顧客をモニターとして集め、WEB上でのユーザの利用行動を観察する手法です。

◆実際のユーザー行動調査の様子(奥:調査員、手前:被験者)

この写真のように調査員の前でユーザーにPCやスマホを操作してもらい、ユーザー行動をつぶさに観察します。

この調査方法は競合と比較しやすい事が特徴です。セルフサービスチャネルであるが故に即座に離脱することができるオンライン環境では、事業者の想像以上にささいな迷いやユーザビリティのつまづきでユーザーはサービスやサイトから離脱してしまいます。「ユーザー行動観察調査」は、普段直接見ることができない顧客の“本当の行動”を徹底的に観察し、改善の打ち手を確実なものにする有効な調査手法です。

◆ユーザー行動観察調査で分かること
・ターゲットユーザー像やユーザニーズやユーザー行動パターン
・有効なコンテンツや機能、ワーディング
・実際にオンライン上で検討する層がどこでつまづいたのか?それはなぜなのか?

これらにより、デジタルマーケティング上の課題を洗い出すことができます。ユーザー行動観察調査のさらに詳しい実施方法はこちらの記事にも掲載していますのでご覧ください。

過去記事:プロのコンサルが使う「ユーザー調査」の3つのポイント
https://www.media-theater.com/blog/userresearch/

競合分析だけで終わってしまうのではなく、競合分析から戦略仮説を立て、さらにその仮説をユーザー行動観察調査で検証することで、自社の課題の発掘とそこに対する戦略立案まで行うことができます。

そして、競合分析を行う際に気を付けることを以下の注意点にまとめましたので、この点に注意しながらより確実な分析を行っていきましょう。

競合分析における2つの注意点

競合分析を行う際は以下の2点に注意して行いましょう。

注意点①確証バイアスで解釈しない

確証バイアスとは、意識していなくても自分の考えに合ったものや都合の良い情報を優先してしまう傾向の事です。気づかぬうちに情報に偏りが生じてしまい、現状を捉えた分析が出来なくなってしまわないように、競合分析をする際はこの確証バイアスを意識しながら情報収集を行いましょう。

実際に、「こういう結果が欲しい」という目的に沿ったデータを重視して、目的に沿わないものは外れ値として用いられないケースが多く見られます。分析前の仮説や目的にとらわれることなく、公平にデータを分析していきましょう。

注意点②市場の変化に合わせて再度分析する

競合分析は一度で終わらずに定期的に更新していきましょう。面倒に感じてしまうかもしれませんが、市場のトレンドは常に変化しており、競合企業も絶えず改善をしている中で、一度だけの分析結果で戦略を立て続けていると成果はでなくなってしまいます。改善施策を行うとともにPDCAを回しながら都度最新の情報を用いて分析していきましょう。

まとめ

今回はデジタルマーケティングでの競合分析の方法と、分析から戦略仮説を立て、検証するまでの方法をご紹介しました。競合分析を行うことで現状のマーケティング施策の比較が可能となり、自社の課題を把握し戦略を立てる事ができます。

こちらの記事をご覧の方には、「そのまま表を埋めていくだけで競合分析ができるワークシート」のパワーポイントデータを無料ダウンロードできます。記事内の分析事例を参考にしながら項目を埋めていくだけで資料が完成します。ぜひ、「競合分析結果を早急に報告したい」「会議の資料に使用したい」方は、このワークシートを使って分析してみてください。情報入力なしでそのままダウンロードできます。

 

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この記事を書いた人
今井 麻菜
MediaTheaterにて営業アシスタントをしています。セミナー開催やブログ執筆等を務めています。WEBマーケティング担当者の方に有益な情報をお届けしていきます。

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