【2023年】中国の最新IT技術の5事例を潜入取材!
中国では、すでにVRやAIなどを使った最新のITがイベントやタクシーなどの民間企業で利用されはじめております。
本日は、弊社のスタッフが中国に行き、民間企業で利用されている最新IT技術の5つの事例を紹介します。
事例①VRゴーグルでエジプトピラミッドを疑似体験
事例②ライブコマースで活躍!本物そっくりの「デジタルヒューマン」がライブを実施
事例③ARナビゲーションを活用した「間違えることのない道案内アプリ」
事例④大きい駐車場で車を探すことがなくなる「駐車位置ナビ」
事例⑤ドライバーによるストレスをなくす「無人タクシー」
中国の最新のIT事情を知りたい方におススメの内容となっております。最後には日本の最新IT事例もご紹介していますので併せてご覧ください。
目次
事例①VRゴーグルでエジプトピラミッドを疑似体験
まず、最初にVRゴーグルを使った中国のイベントを紹介します。
中国の博物館やショッピングモールのワンフロアではVRを活用し、海外の観光地に実際に行ったような体験ができます。以下の写真をご覧ください。
◆中国のショッピングモール内のワンフロアでVRゴーグルをつけた人々
このように、VRを装着し、動作確認のためのリュックを背負って会場内に入ります。この動作確認のリュックは5kgほどの重さがあります。このリュックを背負いながら45分間歩くので小さいお子様には難しいかもしれません。
◆VRゴーグルを着けた参加者の視界
周りの人はこのように人型で可視化されているのでぶつかることはありません。
ピラミッドの再現度が高く、本当にピラミッドの中を歩いているような感覚で、棺桶の中も覗き込むこともでき、中にはリアルなミイラもいました。45分間の予約に200人も参加していましたが、順路が設計されていて他の人とぶつかる事もありませんでした。
ピラミッドの外にも出ることができます。外からピラミッドを眺められ、またジャンプをするとドローンのように上からも見ることができます。
この「VRエジプト展」は日本でいう伊勢丹のような高級デパートのワンフロアすべてを使用して開催していました。最初の開催予定は2か月間でしたが好評でさらに2か月延長して開催していました。体験時間は45分間で、料金は4000円程でした。
日本でもVRのゲーム等は体験したことがありますが、中国のように博物館等では使用されていないので、日本でも文化や歴史、海外の事を学ぶことにVRを活用していけたら良いと思います。特に博物館の展示では文字での説明が多く、小さいお子さんなどは理解することが難しいですが、VRで実際に体験することでもっと学びやすくなると思います。
事例②ライブコマースで活躍!本物そっくりの「デジタルヒューマン」がライブを実施
中国では日本のインスタライブのようなライブ配信を24時間行い、商品を販売する「ライブコマース」という手法が主流になっています。このライブコマースはあまり人が見ていない朝の5時などの時間も配信しており、コスト対効果が低い時間帯に人間の代わりにデジタルヒューマンを活用しています。
◆サイトに掲載されている本物そっくりのデジタルヒューマン
上記の写真は実際に人が喋っているような映像に見えますが、本当の人ではなく、サンプル動画をもとに生成された本物そっくりのデジタルヒューマンです。
デジタルヒューマンを使ったこのような動画の作成方法は、撮影ブースで3分ほど台本を読むだけで、撮影された映像をもとに作ることができるのです。その後は簡単な指示を出すだけで自動で動画の内容を作成し、デジタルヒューマンが話してくれます。例えば、以下のような指示です。
デジタルヒューマンへの指示例「子どもに動物の説明をしてください」
こちらの制作費用は1人当たり30万円と高額ですが、一度作成すると使い続けることができるので、人件費を考えると費用対効果は高くなります。
この技術を知ったのは上海で開催されていた「世界人工知能大会」というイベントのブースです。それまでこの技術を知らずにライブコマースで見ていましたが、デジタルヒューマンだったと知り驚きました。
ブースでは撮影エリアとモニターがあり、モニターには見た目そっくりの2人が表示されていて、一人は本物、一人はデジタルヒューマンでしたがとてもそっくりでした。
◆デジタルヒューマンと本人
動作はまったく一緒ではありませんが違和感もなく、本物と比べてもどちらが本物か分かりませんでした。このデジタルヒューマンの技術は、日本でも英会話や社会人向け講座など動画コンテンツを作っている企業で活用できると思います。
事例③ARナビゲーションを活用した「間違えることのない道案内アプリ」
日本の経路ナビゲーションでは「今どこに向いてるの?」「違う方向に歩いてた?」と、戸惑う事が多いかと思います。
中国の最新ナビではARのように矢印が表示され間違う事がありません。
◆ARナビゲーションを使用したスマホの画面
日本ではGoogleを使用していますが、駅の出口の番号も表示されるなどとても使いやすいですが、狭い道だと分かりづらく迷うこともありました。
中国のARを使用したナビだと、カメラを通して実際の道に矢印が表示されるので迷うことがなくなりました。
目的地までのナビはもちろんですが、ショッピングモール内でも使用でき、目当てのお店まで案内してくれるのでとても便利です。
事例④大きい駐車場で車を探すことがなくなる「駐車位置ナビ」
アプリに車のナンバーを入力するだけで車の位置を表示して経路を教えてくれます。
このしくみは様々な場所に設置されたカメラで車のナンバーを認識しデータを集めて、そこから割り出しています。以下の写真をご覧ください。アプリでは車がどこにあるかを教えてくれます。
◆駐車位置までの経路を教えてくれるアプリ画面
日本では立体駐車場等を使用したときにフロアを間違えたり、自分の車を停めた場所が分からず困ることがありましたが、このアプリで車の位置情報を取得でき、すぐに案内してくれるのでとても助かりました。
中国にはいたるところにカメラがあり、駐車場内にも文字を認識するカメラが設置してあり、カメラがナンバーを認識しデータを蓄積して、このアプリで探すことが出来るようになっています。
事例⑤ドライバーによるストレスをなくす「無人タクシー」
引用:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230517/k10014069001000.html
中国では運転士のいないタクシーが走っています。
日本の配車サービスのようにアプリで行先を入力しタクシーを呼ぶことができます。タクシーが到着したら、車体後部に設置されたディスプレーにアプリで表示された数字を入力すると鍵が解除されて乗り込めます。そして車内のパネルのボタンを押すと自動運転で目的地へと連れて行ってくれます。この無人タクシーは、まだ試験段階なので郊外の決められた区間で走行しています。
この無人タクシーは1年前くらいから導入されました。無人タクシーのメリットは、高齢ドライバーの運転で感じる不安やストレスをなくすことが出来る点だと思います。
自動運転の技術を活かして、中国では5年ほど前から配達の自動化も進んでいます。こちらも決められた区間になりますが、専用の車やドローンがポストまで自動で運ぶことが出来ます。
◆無人配達専用の車
日本でも最新ITの導入が始まっている!
VRで博物館を体験できる「VR宇宙博物館コスモリア」
日本では9月1日に「VR宇宙博物館コスモリア」がオープンしました。
◆実際のVR画面
VR宇宙コミュニティ「天文仮想研究所」が作った、ソーシャルVR「VRChat」上で天文学・宇宙開発などに関する様々な資料を展示した博物館ワールドです。今回のピラミッドのように自分で実際に歩き回れるわけではありませんが、どこにいても宇宙博物館を体験することができます。
日本でも博物館としてVRを取り入れようという動きが始まっています。今後、博物館でエジプト展のような「体験できる展示」が導入される日も近いのではないかと思います。
日本でも導入スタート「デジタルヒューマン」
また、デジタルヒューマンにおいては日本でも導入が始まっています。株式会社ニュウジアは、2023年9月4日にデジタルヒューマンのサービスを日本市場に正式に導入することを発表しました。
◆本人とデジタルヒューマン
このデジタルヒューマンの技術をインバウンド向けのサービスやECサイト、企業の広報など様々な分野で導入し、コストダウンを図れる見通しとの事です。
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000127837.html
日本でもGoogle等で使用できるARナビ「ライブビュー」
ARが使用されている経路ナビは日本でもGoogleやAppleマップなどにも導入されています。
◆GoggleのARナビを利用したスマホ画面
しかし、まだ屋内や地下街では上手く動作しません。筆者も使用してみましたが、案内中でAR表示が急に終わってしまったり、不便を感じました。より精度高くどこでも利用できるようになるといいですね。
駐車位置ナビゲーション
駐車位置ナビゲーションは、日本でもGoogleマップを使用して利用することが出来ます。
引用:https://support.google.com/maps/answer/7257797?hl=ja&co=GENIE.Platform%3DiOS
駐車した場所を保存することはできますが、このサービスを使用するには事前に位置情報の設定などをしておかなければならないので、まだ不便さを感じます。さらに常に位置情報サービスを使用しなければならないのでバッテリーの消耗が激しいのも難点の一つです。
福島県永平寺町で誘導型の自動運転の実証実験
2023年5月11日に道路交通法に基づく「特定自動運行」の許可が日本で初めて出されました。これにより、レベル4の自動運行装置を用いた運転者なしでの運行が可能となりました。しかし、電磁誘導線に沿って走る「誘導型」での導入なので、中国やアメリカの自動運転レベルには及びません。
◆実証実験の様子
日本で導入が進むためには法規制や事故時の責任問題などの課題が多いですが、このような事例を増やして、日本でも自動運転の実施を行える日が近づくといいですね。
まとめ
日本では、技術的な問題よりも、法規制などの問題があり、なかなか最新のITの導入が始まりません。しかし、少子高齢化社会に突入し、多くの産業で人手不足が目立ち始めております。
この人手不足は、産業の効率性やサービス品質を向上させる動機として、テクノロジーの導入を促進する可能性があります。特に、ロボティクスやAIを活用した自動化が、労働集約的な業種での人手不足の解消に貢献すると期待されています。
株式会社Media Theater(メディアシアター)では、主要な顧客接点である「デジタルにおける顧客体験の最適化・収益向上」に向けた数々のご相談をお受けしています。VR技術を活用したバーチャル試乗を可能とした”カーセンサー”のような多数の弊社の事例はこちらからご覧ください。