2.5倍の成果を叩き出した「ABテスト」の具体的手法
ABテストはサイト改善のための施策ですが、「なかなか大きな改善結果が出ない」または、「テストを行ったが結局どちらがいいか分からない」というご相談をよくもらいます。
ABテストで高い成果を出すためのポイントは大きく分けて、アクセス解析を実施する、仮説をたてる、その仮説をもとにABテストを実施することです。弊社ではその方法で、2.5倍の成果をABテストで叩き出した実績があります。
この記事ではどのようにして ABテストで成果を上げたのか、弊社の事例を交えて具体的に解説していきます。
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目次
健康食品メーカーのCVRを2.5倍にしたABテスト事例
ではまず、弊社クライアントの健康食品メーカーの事例をご紹介します。このクライアントでは、リスティング広告によるCVRを2.5倍に改善しました。
◆健康食品メーカーの事例
商材:青汁等の健康食品
広告:リスティング広告によるLP運用
課題:CVRが低い
↓↓↓↓↓ ABテスト施策を実施した結果 ↓↓↓↓↓
それでは、どのようにCVRを2.5倍にしたのか、具体的に解説します。
CVRを高めるためのABテスト手法
今までは下記のような「単品訴求型」のLPのみを使っていました。
◆「単品訴求型」のLP
※単品訴求型LPとは、1つの商品のクリエイティブのみを訴求するLPを指します。
しかし、分析の結果リスティング広告の検索キーワード毎に成果がことなることがわかりました。
◆リスティング広告の検索キーワード毎のCVR違い
検索キーワード①「青汁 通販」<==CVRが高い
検索キーワード②「ブランド指名」<==CVRが低い
実は「ブランド指名」より「青汁 通販」のCVRが高いことが判明しました。
次に、この結果から仮説を立てました。
青汁を買いたいユーザーがクリックしているから、 CVRが高いと思われる。
ブランド名で検索しているユーザーは、商品を探したいニーズがあるから、単品訴求ページよりも、公式サイトのように複数の商品を選べる方が需要がある。
これらの仮説を検証するために、LPを検索キーワード毎に分けてみました。
◆ABテストしたA案とB案
LPをリスティング広告の検索キーワード毎に分けて運用することで、CVRを2.5倍にすることに成功しました。
この事例をもとにABテストの成功を再現するための3つのポイントを解説します。
ABテストで確実に成果を出す!3つのポイント
ポイント①アクセス解析により改善インパクトの大きい仮説を立てる
ABテストでまず重要なことは「改善インパクトの大きい仮説を立てること」です。
よく見かけるボタンの色を変えたり、文字の色を変えるなどの微細な改修では小さな変化しか生み出ず、この積み重ねではCVR改善に結びつくのに時間がかかってしまうので、改善インパクトの大きい仮説を立てることが重要です。
では、具体的にどのようにインパクトの大きい仮説を立てるのかを先程の事例でステップに分けて解説します。
改善インパクトの大きい仮説の立て方
ステップ1. 現状のLPのアクセス解析
→離脱ポイントやその離脱ポイントにおける検索キーワードは何か等、今の問題点から改善インパクトの大きい点を把握
◆リスティング広告の検索キーワード毎のCVR違い
検索キーワード①「青汁 通販」<==CVRが高い
検索キーワード②「ブランド指名」<==CVRが低い
ステップ2. 分析結果から仮説を立てる
→「検索キーワードごとに有効なLPは異なるのではないか」
青汁を買いたいユーザーがクリックしているから、 CVRが高いと思われる。
ブランド名で検索しているユーザーは、商品を探したいニーズがあるから、単品訴求ページよりも、公式サイトのように複数の商品を選べる方が需要がある。
このようなステップで、改善インパクトの大きい仮説を立てていくことが大切です。
ポイント②ユーザー行動観察調査でユーザーの真意を確かめよう
改善インパクトの大きい仮説を立てたら現在のLPをA案として、それに対するB案となるLPを制作しましょう。
LPの制作において最も重要な事は、ユーザー心理を把握し、最適なLPをつくることです。ユーザー心理を把握するための方法として、弊社ではユーザー行動観察調査を行うことをおすすめしています。
ユーザー行動調査とは?
以下の写真のように、ターゲットユーザーを集めて、PCやスマホを調査員の前で操作させて、ユーザー行動をつぶさに観察する調査手法であり、WEB改善手法として、もっとも効果が高いとされている方法の一つです。
今回はショッピングサイト型のLPのプロトタイプを作成し、それを被験者に操作してもらいました。
◆ユーザー行動調査の様子(左:調査員、右:被験者)
ユーザー行動観察調査ではアクセス解析では分からない「ユーザーの検討プロセス」や「リアルな反応」などを、実際にユーザーの方に操作をしてもらうことで把握することができます。CVまでの壁となっているユーザーの不安を把握し、有効なサイト改善を行っていきましょう。ユーザー行動観察調査について手法など詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
通常この調査には数十万円以上の費用がかかります。
費用をかけずにやる場合は以下のステップで3~5人くらい、ユーザー行動観察調査を実施してください。
◆社員でユーザー行動調査を実施する7つのステップ
ステップ① ターゲットユーザーに近しい属性の社員やその家族を被験者として集める
※なるべく被験者には、ABテストやプロジェクトのことは内緒にする。
ステップ② 被験者がサービスや商品を購入に至った背景の話を聞く
ステップ③ 被験者に、PCやスマホで実際にサービスや商品を比較検討してもらい、その様子を隣で観察する。
その際、被験者が考えていることを全部言葉にだしてもらい、独り言をいってもらう。
ステップ④ 気になった行動があれば被験者のWEBサイトでの比較検討を一旦止めて、「なぜクリックしたのか?」あるいは「なぜ広告をスルーしたのか?」などの理由を聞く。
ステップ⑤ 被験者が、改善したい商品ページに辿り着かず、競合サイトだけを見た場合は、競合のサイトの観察が終わった後に「もし、あなたが見たサイトが○○だとして、もう一度お願いします」と被験者に再度比較検討してもらいます。
ステップ⑥ このような調査を3~5人繰り返しましょう。
ステップ⑦ 被験者の行動から、サイトの課題を洗い出す。
ポイント③ユーザー心理を捉えたLPの制作
ユーザー心理を把握したら、それを元にページ内のどこをどのように改善するかを決めましょう。
最も効果的な改善は「ユーザー心理を捉えた訴求を行う」ことです。
先程のユーザー行動観察調査で得た”LP離脱要因”をもとに、その要因を払拭していきましょう。
◆LP離脱要因
①探しにくい (商品名のみの記載だけでは商品の特徴も分からず迷ってしまう)
②信頼感が薄い(ブランドイメージにもなっている商品以外への信頼感がまだない)
③見ずらい(ペルソナである中高年層に向かない小さな文字・用語が多い・テキスト量が多い)
3つのLP離脱要因
冒頭の事例ではそれぞれのLP離脱要因に対し以下のような改善を行いました。
♦LP離脱要因に対する改善
①探しにくい→ユーザーが希望する商品に誘導する設計を行う。
②信頼感が薄い→第三者の客観的な口コミ、安心感を与える権威付け情報
③見ずらい→テキスト情報を極力排除したクリエイティブ中心のコンテンツ
離脱要因をもとに制作した改善LP
このようにユーザーの壁に対して最適な訴求を行ったLPを作成することにより、よりインパクトのある改善を行っていく事ができます。
ABテストの3つの注意点
テスト結果を正しく分析するために以下の点に注意しましょう。
注意点①時期が一緒か
異なる時期で検証してしまうと夏休み等のイベントや季節など様々な外的要因によって純粋な結果が出なくなってしまいます。ただし、時期が同じでも、例えばコロナ禍と通常時では、結果も変わるので、時期というよりは同じ条件を意識しましょう。
注意点②データ量が十分か
また、検証期間が短かったり、もともとのアクセス数が少ないとデータ数が少なくなり信頼性に欠けるデータになってしまいます。厳密な基準はありませんが、アクセス数が少ないサイトなどでは1週間程度は比較してみましょう。
注意点③仮説通りの結果を求めすぎてないか
最後に、どんなに検討した仮説であっても思ったような結果が出ないこともあります。そんな時は「失敗した」で終わらず、「1つの可能性をつぶせた」と考え、次の仮説を立てPDCAを回していきましょう。
まとめ
今回は成果を出すABテストの方法をお伝えしました。
①まず、アクセス解析を行い改善インパクトの高い仮説を立てる。
②ユーザー行動観察調査を使用しユーザーの真の行動・反応を確認する。
③ユーザーの離脱要因を把握しLPをつくる。
この3ステップを実践して、CVRを改善するLPを作成していきましょう。
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